なんと中2ヶ月もあいてしまい、申し訳ありません。ある案件にどっぷり浸かってしまっておりましたが、気を取り直して再開したいと思います。よろしくお願いいたします。
さて、前回のエントリー、「ファイル名は日付で始めよ」は、これまでになく多くの方からコメントをいただいた。それだけ身近でみなさんの関心が高い分野だということであろうし、またそれだけ筆者の解説に至らない点が多かったということでもあろう。そこで今回は、いくつかのコメントに回答させていただく形で、前回の補足としていきたい。
(はてなブックマーク、Twitter等にコメントしてくださった方は、実際には「筆者に対して」発したわけではない方もいらっしゃると思います。勝手に題材としてしまい申し訳ありません。もし不都合でしたら削除いたしますので、筆者までご一報ください。)
■ファイル名で管理しようとしている時点でしょぼい感じが。時系列が大事だったら Subversion とかに放り込んだ方が良いように思うが...。
コメントありがとうございます。おっしゃる通り、この稿はなにも機能のない"しょぼい"ファイルサーバーを使っていることを前提にしている。確かに、なんらかのコンテンツ管理システム(CMS)を使っている企業であれば、その機能を使ったファイル管理の手法があるはず。
それでも、なぜあえて「ファイル名自体に日付を入れる」べきかというと、おもに4つの理由がある。
■1) 現実、CMSの機能に全面的に依存できないため。
たとえば、前稿の文中でSharePointの例を出したが、
さらに、たとえばSharePointにアップロードされていたファイルをダウンロードすると、そのファイルの日付は元ファイルのもの(=本質的な最終更新日)でなく、今現在のものになってしまう。これではお話にならない。
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なんてことがあるのが現実なので。要はシステムに全面的に任せておけるか?というと「おけない」ことが多いのである。
■2) 仮に今のシステムは任せておけたとしても、将来はわからないため。
企業内情報共有システムはほぼ5年おきに更改され、別ベンダーのシステムにリプレースされることもありうる。しかしその際、旧システムのコンテンツ管理機能を使って管理していた部分が新システムに引き継がれない恐れは十分にあり、そうなると過去のファイル管理情報はすべてチャラ、となりかねない。
ツールベンダーの立場からすると、そうしたファイル管理機能の工夫こそが差別化および進歩の源泉であり、したがって他社との"互換性"を保つことは難しい、ということになるので、これを一概に非難するわけにもいかない。また、ファイル管理情報の「移行」は技術的には可能だが、移行作業にコストがかかるがゆえに結局移行はしない(ファイル管理情報は引き継がず、ファイルだけを新システムに新規に投入した形にする)ケースも多い。
したがってユーザーの立場からすると、そうしたシステム切り替えが起きても大丈夫なように備えておくに越したことはない、ということになる。その点、ファイル名は「引き継がれない」ということはありえないので安心だ。
■3) 「しょぼいファイルサーバー」を使っている企業が、実際には圧倒的であるということ。
筆者は仕事柄、数百社(大半が社員1,000名以上の大手企業)の情報共有システムについて見聞きしているが、筆者の知る限り「社内でファイルサーバーは一切使われていません」と明言した企業はたった1社しかない。それどころか、依然としてファイルサーバーがファイル管理の主役を占めている企業が大半を占めているのが現実なのである。
■4) 自分で見てわかること。
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実はこれが最大の要因かもしれない。勤務先にCMSがあっても、あなたも結局、個人PC上でもファイルの管理をしているのではなかろうか。それなら、CMSの世界を離れても、「ファイルの本質的な日付」がわかったほうが便利ではないか?
■自分だったらバージョン管理ツールを使う。 手動でなんてやってられない。特に複数人でする場合は。
コメントありがとうございます。ファイルの「バージョン管理」は、本稿および前稿の「ファイル管理」は実はちょっと違う領域なのだが、実際には密接に関係があるので、バージョン管理とセットで考えるべき事項である。バージョン管理については次稿で取り上げることにするので、よろしくお願いします。
■ファイル名のYYMMDDの後にアンダースコアないしハイフンを入れるべきでしょうか?もし入れずに、たとえば「101210○○資料.docx」のように続けたとしたら、不都合は生じますか?
唯一の不都合は、日付の直後、○○のところにいきなり数字が入るケース。その場合、数字が続いてしまうため、日付の区切りが分からなくなるし、検索にもかからない。たとえば「2010年生まれの赤ちゃんに多い名前」というファイル名だったとすると、
「1102192010年生まれの赤ちゃんに多い名前.docx」
となってしまい、ちと不便。
ただし、「そういうケースの時だけアンダースコアで区切ることにすればよいのでは」という意見にも説得力はあるので、普段は入れなくてもよい気もする。アンダースコアはJISキーボード上では押しにくい位置にあるので入力が面倒でもあるし。
■個人的な管理には適してるかもしれない、でも複数人では破錠するだろうな。
コメントありがとうございます。たしかに、これをグループ全員に徹底するだけでも簡単ではない、のが現実である。
最高の関心の高アカウント英国です
しかしそれでも他の手段に比べれば実行の敷居は低く、一方で効果は大きいので、まずはこれを「お作法」と定めて普及させていくのが「忙しさの緩和」への第一歩であると筆者は考えている。
■Windowsにはファイルの作成日時という項目があってだな。。。
コメントありがとうございます。しかし「コンテンツの本質的な意味にあった日付を入れよう」という本稿の主旨からいうと、ファイルの作成日時は「更新日時」よりさらに使えないプロパティである。
たとえば「100401_年頭あいさつ.pptx」という、昨年4月に作ったファイルを使いまわすために今日コピーすると、その瞬間に2011年2月20日という日付が記録され、しかも固定される。しかしそのファイルを実際に使うのは今年3月かも、4月かもしれない。つまり2月20日という日付自体は、コンテンツ利用者にとっては何の意味も持たない。ファイル作成日付でソートしているフォルダのビューを見かけたことがないのはそういう理由だろう。
■ライフハック系の話を作法というのはなぁ・・・。
コメントありがとうございます。筆者は「ライフハック系」がどの範囲までを含むのか、言葉の定義の理解が心もとないのだが、おそらくITお作法は「組織レベルでのライフハック」であると考えていただいてもよいように思う。
このブログが取り上げる「ITお作法」のほとんどは、しごく普通なちょっとしたアイデア・工夫で仕事の能率を上げることができる施策だ。ところが、これを組織レベルつまり複数人が絡むワークで実践しようとすると、とたんに実施のハードルが上がる。なぜなら、メンバー全員がそれを実践しないと意味がないからだ。
たとえばこのファイル日付についても、皆がYYMMDD_○○と入れているのに、一人だけ20YYMMDD_○○と入れる人がいたら、意味がなくなる。ファイルが日付順に並ばないのだから。
組織レベルでライフハック施策を実践するためには、メンバー全員が足並みをそろえて同じやり方をする必要がある。だから「作法」という呼び方をしているのである。もっとも、「作法」がすぐに身に付かないのも世の常ではあるが...
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コメントしてくださったJULYさん、cola-zeroさん、sankasekiさん、PonKotumaruさん、TOKOROTENさん、ほかのみなさんに感謝いたします。
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